もともと障害のある患者が医療過誤でさらに重度の障害を負う結果となった際の慰謝料の認定が問題となるケースで参考となる裁判例です。
福岡高等裁判所平成30年(ネ)第651号
令和2年7月6日判決(第5民事部)
エ 後遺障害慰謝料 2000万円
1審原告生徒は,本件事故により重篤な低酸素性脳症を後遺し,大脳皮質の表面全体が層状壊死の状態となるなどの影響により,本件事故前までは可能であった一定の意思活動とその表現がすべて不可能となったものと認められ,こうした後遺障害は,1審原告生徒が従来から脳性麻痺,精神発達遅滞,運動発達遅滞等の重度の障害を有していたことを考慮しても,1審原告生徒の日常生活の在りようを一変させるほど重大なものといわざるを得ないから,後遺障害慰謝料としては,2000万円を認めるのが相当である。