静岡地方裁判所平成25年(ワ)第188号
令和元年9月19日民事第2部判決より
また,被告は,高度の真実蓋然性の証明は,80から90%が必要とされるところ,上記のように,P20鑑定書においては,急性期を乗り切る確率は60から70%と推測しているものであるから,P8の死亡を回避して生存し得た高度の蓋然性があったとすることは困難であるとする。
しかし,被告の指摘する高度の蓋然性の証明の程度は,裁判所が高度の蓋然性があると認めるに足りる心証の程度を示すものであり,本件の臨床経過や医学上の死亡率等の統計資料を踏まえて結論付けた鑑定資料は重要な資料ではあるものの,それのみで高度の蓋然性があるといえるか否かについての心証を形成するものではない。
また,P20鑑定書において指摘する確率は,P8が急性期を乗り切る確率であり,ここでいう急性期は約2週間にわたるものであること,P20鑑定書においては,同日午後2時10分の死亡については回避できた可能性が高い,短期的な予後は変わったに違いないとしているのは上記認定のとおりであり,これらの点を踏まえ,当裁判所が上記時点におけるP8の死亡を避けられた蓋然性が高いと認められると判断したのは,前記説示のとおりである。
被告の上記主張もまた,採用することができない。