本年10月1日に、日本医師会は、『医師の職業倫理指針[第3版]』を発表しました。
平成20年以来、8年ぶりの改訂です。
今回の改訂では、45頁以下に医療事故の報告と調査に関する項目が設けられ、事故発生時の対応の基本的な方針が説明されるとともに、施設内事故調査報告制度の重要性が強調されています。
事故発生時の対応に関する解説部分を、以下に引用しておきます(赤字は小職による)。
===以下引用===
(1)医療事故発生時の対応
診療中、患者に障害を与えるような事故が起こった場合、担当医はまず患者の治療
に全力を尽くすことが重要である。それとともに、患者や家族に対して事情を説明す
ることも大切である。
事故発生後あるいは紛争発生後に、責任を逃れるために診療記録の改ざんをするよ
うな行為があってはならない。診療記録を訂正する必要がある際には、どこをどのよ
うに改めたかを分かるようにし、訂正した日時を記載し署名するなど、誰が何を訂正
したかを明らかにしておかなければならない。
重大な医療事故については、担当医・医療施設の管理者は、まず患者・家族に十分
に説明することが大切である。また、明らかな過失による事故では、患者や家族に対
し謝罪するとともに誠意をもって対応しなければならない。とりわけ患者が死亡に
至った場合、遺族の強い願いは原因究明と再発防止であり、それは医療者の願いでも
あることから、死体解剖を行うように勧め、院内事故調査によって原因究明に当たる
必要がある。
また、各医療施設や臨床に携わる医師は、すべて医師賠償責任保険や医療施設賠償
責任保険に加入しておく必要がある。
なお、そもそも医療とは死亡の検証までも含むものであり、医療事故であるか否か
を問わず必要ならば病理解剖をして原因究明に努めるべきである。
===以上引用===