17歳女性がプロラクチン産生下垂体腺腫に対して開頭手術が実施されたところ、術後脳梗塞を合併して死亡。下垂体ホルモン内分泌検査を怠り、薬物治療の選択肢を説明しなかった説明義務違反を認定。適切な説明を受けていれば、開頭手術を選択しなかった可能性は多分にあったとして、説明義務違反と死亡との因果関係を肯定。約7200万円の賠償を命令。1審で確定。
亡Fの主治医である被告E医師は,血中プロラクチン値の測定を含む下垂体ホルモンの内分泌検査を怠り,速やかになすべきプロラクチン産生腺腫の確定診断を遅らせ,未確定で不十分な病状の把握を前提に開頭手術を実施するという治療方針を立て,プロラクチン産 生腺腫の確定診断に基づく治療方針の再検討を行わなかったばかりか,亡Fの治療に関して説明義務を負う相手方である原告らに対し,実施予定の治療行為であ る開頭手術を受けるか否かを熟慮し,決断する前提として必要な説明をせず,必要な説明を前提とした同意を得なかったものであり,治療方法の選択,決定段階 における医師の注意義務に違反した過失があるというべきである。
(中略)