「診療録の開示請求の際に、病院から何のために使うのかと聞かれたら、どう答えたらよいでしょうか」というご質問を受けることが少なくありません。
もともと、平成16年に厚労省が定めた「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」では、「開示等の求めの方法は書面によることが望ましいが、患者・利用者等の自由な求めを阻害しないため、開示等を求める理由を要求することは不適切である。」と明記されていました。
しかし、この点が現場で徹底されていないことを受け、平成22年には、次のとおり改正され、現在に至ります。
「開示等の求めの方法は書面によることが望ましいが、患者・利用者等の自由な求めを阻害しないため、開示等の求めに係る書面に理由欄を設けることなどにより開示等を求める理由の記載を要求すること及び開示等を求める理由を尋ねることは不適切である。」
(平成22年9月17日/医政発0917第2号/薬食発0917第5号/老発0917第1号)
医療現場では、このガイドラインにあるように、開示を求める理由を聞いたり書かせたりしないようにしていただきたいと思います。
もし、理由を聞かれて困ったときは、このガイドラインがあることを病院に伝えるとよいと思いますが、どうしてもそういった対応を取ることは気が引けるという場合には、「記録の保存のため」「診療経過の確認のため」といった程度の目的を書いておけば、問題なく開示を受けることができるはずです。
このように、開示の理由は本来書く必要はない、ということを知っているだけでも、窓口で気後れせずにすむと思います。